自分自身をコーチングする『セルフトーク・マネジメントのすすめ』

自分自身をコーチングする『セルフトーク・マネジメントのすすめ』

人の意識には、感情や行動の引き金となるセルフトークが存在する


今回紹介する書籍は、鈴木義幸さんのセルフトーク・マネジメントのすすめ』です。


「スピーチ」「面接」「プレゼン」「商談」など、ビジネスの現場において本当に役に立つセルフコントロールの方法、それが「セルフトーク・マネジメント」です。


著者の鈴木義幸さんは、日本に「コーチング」を根づかせた人でもあります。現在も、日本最大のビジネスコーチング会社、コーチ・エィの社長を務めるかたわら、一部上場企業の経営陣・管理職などへのコーチングを行なっています。


「セルフトーク」とは、言葉から連想できるとおり、「自分の中での会話」です。本書では、このセルフトークが人の感情や行動と密接に関係していることを示したのち、セルフトークを通じて自分自身をコントロールする方法を紹介します。

 

 

 

 

目次

 

  1. 2つのセルフトーク

  2. 自分の質問でセルフトークを変える

  3. セルフトークを使って「考える」

  4. セルフトークを「減らす」とは

 

 

 

 

 

2つのセルフトーク


セルフトークとは、「自分の心の中での会話」です。中でも2種類のセルフトークが存在するので、本書ではA,Bとして区別しています。

セルフトークAは、「感情」を呼び起こし、「反応」としての行動を導くセルフトークです。自分の意思にかかわらず自動的に「生まれる」セルフトークであり、「A」はautomatic(自動的)を意味します。


意識せずとも自然に出てくる思考のことを指します。さらに、「ポジティブな感情・反応を導くもの」と「ネガティブな感情・反応を導くもの」に分けることが可能です。


当然ですが、ネガティブなセルフトークは少ない方が良いです。また雑念といってもいいようなネガティブな思考が多いのもセルフトークAの特徴です。

セルフトークBは自ら「生み出す」セルフトークです。Bはbear(生む)のBと覚えてください。自分の意思で生み出すセルフトークBは原則として有用な存在であり、これをどう利用するかがセルフトーク・マネジメントのポイントになります。


Aとは対照的に、セルフトークBは意識的に自分の心の中に働きかける言葉を指します。つまり、雑念ではなく、「理性」を呼び起こし「対応」としての行動を導くセルフトークであります。


最近コーチングと言う言葉をよく耳にするようになったかと思いますが、このセルフトークBはひとりコーチング、セルフコーチングとも言えるかもしれません。

 

 

 

自分の質問でセルフトークを変える


セルフトークの存在を認識できたかと思います。次にすることは意識的にセルフトークをして自分をコントロールすることです。


ポイントは、自分をとらえるセルフトークAをどのようにセルフトークBに変えるべきか、ということになります。


一つ例を出してみます。

世界一のゴルファー、タイガー・ウッズをコーチしていたブッチ・ハーモンという人は、記者からの失礼な質問にこう答えました。

「今もうあいつにかなうものは一つもない。ドライバーも、アイアンも、アプローチも、パターも、メンタルも、何一つとってもあいつのほうが優れている」


そして彼は続けました。

「だが、私にはパワー・クエスチョンズ(質問する力)がある



正しい道に誘導したり、自分で考え答えを見つけさせようと質問を投げかけているのです。


まさにコーチングとは何かを説明する良い例です。

コーチの実力は、ひとえにパワー・オブ・クエスチョンズ(どんな質問をクライアントに投げかけられるか)にかかっています。


日本のコーチのイメージは、どちらかというと指導者として教える「ティーチング」の要素が強く感じます。より重要なのはコーチングではないでしょうか?


セルフトーク・マネジメントでも同じことです。セルフトークAが生まれたときに、心の中でどのような質問を自分に投げかけるか、つまり、どんなセルフトークBを生み出すかでセルフコントロールです。セルフコーチングとも言えますね。

 

 

 

セルフトークを使って「考える」


セルフトークBを使うということは、すなわち「考える」ということです。私たちは何かしらの悩みを抱えているはずです。でもその悩みも考えたり行動しなければ一向に解決には向かいません。

悩むというのは、答えを手にしたいのに、その答えが手に入らず、同じところをぐるぐると回っているような状態。一方、考えるというのは、答えを探すのではなく、答えに至る問いを自分の中で立てるプロセスだということです。


これをセルフトークマネジメントで言うならば、悩むとはセルフトークAによる対象への「反応」であり、セルフトークBを使い、考えることはじめて「対応」しているということができます。


まずはこの2つの違いを知りましょう。そうすれば、知的生産性の効率が向上するでしょう。

人は、得意な領域については意識的・無意識的にさまざまな種類の問いを立て、考える(セルフトークBを使う)ことができますが、不得意な領域については悩むこと(セルフトークAに身を任せる)に終始してしまう。問いを立てられないからこそ不得意になるともいえます。


問いを立てられる領域、立てられない領域を確認してみてください。問いが立てられない領域には、どうすれば立てられるようになるのか検討が必要です。

 

 

 

セルフトークを「減らす」とは


セルフトークを「減らす」ということには、2つの意味があります。

一つは、すでに生まれてしまったセルフトークAを減らすということ。もう一つは、セルフトークAが発生しないようにする(そして、不安や緊張、恐怖といったネガティブな感情がそもそも起こらないようにする)ということです。


最初に言ったように、セルフトークAは直感的に出てくる自然な思考で、雑念や悩みなどネガティブなものが大半を占めています。


ですが、無意識に出てくるものですので、減らすことは容易ではありません。やるべきことはセルフトークAをただ消すのではなく、セルフトークBをつくり出し、置き換えることで感情や行動を変えることです。



つまり、セルフトークBに変えることが、自然と生まれてしまったセルフトークAへの適切な対処法であります。


しかし、ストレスレベルがあまりにも高いときや、就寝前などでセルフトークを変えて行動を起こす必要がないときは、セルフトークそのものを減らすことに専念したほうがいいかもしれません。

生まれてしまったセルフトークAを消す方法とは、まずシンプルに、セルフトークを認識することです。セルフトークAがセルフトークAであるためには(感情や行動を左右する力をもつためには)、無意識のものである必要があります。意識し、言語化できたとき、セルフトークAは解決すべき一つの課題にすぎなくなります。


他には瞑想をすることで、今現在の意識の目を向ける方法も効果があるかもしれません。

 

 

 

Booksカテゴリの最新記事