山中伸弥がアメリカで学んだ「プレゼン術」
今回紹介する書籍は、『「プレゼン」力 ~未来を変える「伝える」技術~』です。
本書は、山中伸弥さんと伊藤穰一さんの共著となっていて、日本を代表するふたりの「知の巨人」の対談も書かれています。
今回紹介するのは、京都大学iPS細胞研究所所長にしてノーベル賞受賞者である、山中教授が人生を変えた「プレゼン術」について紹介します。
アメリカで学んだプレゼンのノウハウの全てが詰まっています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
発表は「紙芝居」スライドは、文字ではなく絵が主役
私は、スライドの発表は、紙芝居だと思っています。見せるのはあくまで「絵」であって、「文字」ではない
今は、紙芝居を見かけなくなりましたが、スライドを作る上でいい見本となります。
子どもは、まず絵を見て興味を持たないと、もう見てくれません。
この子供の反応と同じように、オーディエンスがスライドの絵を見て、「何だ、何だ?」と思ったところで、その絵にあった話をするのがプレゼンテーションではないでしょうか。
でも多くのスライドの場合、文字だけが羅列してあったり、一枚のスライドに図がたくさん貼ってあったりして、一目どころか、よく見ても何が書かれているか分からないものが多いです。
パッと見たときにわかりにくいと、興味を持ってはもらえません。
いくら内容自体が良いものであったとしても、見てもらえなければ意味がないのです。
「どう見えるか」というのは、非常に重要です。どれだけ入れ込んで素晴らしい内容だとしても、視覚情報がごちゃごちゃしていると、引き込まれません。
ですから、自分のスライドづくりの際には、自戒を込めてその点を常に心がけるようにしています。
スライドは「連続性」を意識しろ
これもまた、紙芝居のテクニックと同じですが、スライドの一枚一枚に「つながりをつくる」ことも重要です。
山中教授もアメリカの授業で指摘を受けたようです。
「こういう結果となった」だから「次にこういう実験をした」と、一枚ずつのスライドが「連続性」を持ったような説明の仕方をしろというのです。
言われた通りにやってみると、聞き手は頭の中が整理しやすいし、受けている説明をとても理解しやすいのです。
スライド一枚一枚が、連続性を帯びたひとつのストーリーのように繋がることで、優れたプレゼンへと変わります。
実際に、この方法を使ったことで山中教授は、素晴らしい研究者へと人生までも変えてくれたようです。
スライドは一枚一枚を簡潔に、見やすく。
そのうえで、連続性を持たせることが重要。
聴衆を「馬鹿」にするな
プレゼンテーションや発表のとき、会場に多くの方がいらっしゃるかと思います。会場に何十人、何百人、場合によってはもっと多くの聴衆の方々がおられます。
「あなたが話す時間は1時間かもしれないけれども、500人いたら500時間を使っているんだ」
アメリカにいた時に、この言葉を言われたようです。
逆説的に考えると、「もしもその1時間、だめなプレゼンテーションをしたら、あなたはその500時間を無駄にしたことになる。それなら、それぞれの職場で仕事をする方が、どれだけ人類のために役に立つか」。
こういうことではないでしょうか。
人前で話をするのは、ある意味「恐怖なこと」でもあります。
あるときうまくいったプレゼンも、違う集団、オーディエンスにやると、全くだめなんてこともあります。聞き手によって変わってくるのです。
だから山中教授は、今でもオーディエンスがどんな方々なのか前もって教えてもらっているようです。また、その人たちを「馬鹿にしない」ことも重要です。
理解できないのは、説明の仕方が悪いから。
だから、「伝わらなかったら、お前が馬鹿なんだ」
そう思って準備をしましょう。
まとめ
【スライドは?】
プレゼンの成功・失敗はスライドづくりで決まる
見た瞬間に興味を持てるスライドにせよ
スライドはできるだけシンプルに
スライドは「紙芝居」、絵が主役
スライドは「連続性」を意識せよ
【本番では?】
聞き手に合わせてプレゼンの仕方を変えよ
聴衆が理解できないのは説明の仕方が悪いから
難しいことを理解できるように工夫せよ
いかがでしたでしょうか。他にも本書では、【プレゼンの目的】【事前の準備】について詳しく書かれています。
ぜひプレゼンや発表をする際には、参考にしてみてください。