50歳になって大きな決断『魂の退社―会社を辞めるということ。』

50歳になって大きな決断『魂の退社―会社を辞めるということ。』

会社を辞めることが幸せを追求することかもしれない


今回紹介する書籍は、稲垣 えみ子さんの魂の退社―会社を辞めるということ。』です。会社を辞めるに至った経緯から、実際にやめてみて思ったことなどが、誇張なく正直に書かれています。

著者の稲垣さんは、元朝日新聞編集委員という肩書きです。文章力はさることながら、着眼点も素晴らしいので一読する価値は十分にあるかと思います。


あとは、アフロのヘアスタイルでも有名です。

私たちは自分の人生について、いつも何かを恐れている。負けてはいけないと自分を追い詰め、頑張らねばと真面目に深刻に考えてしまう。しかし真面目に頑張ったからその分何かが返ってくるかというと、そんなことはないのである。そしてそのことに私たちは傷つき、不安になり、また頑張らねばと思い返す。そして、その繰り返しのうちに人生は終わっていくのではないかと思うと、そのこともまた恐ろしいのである。



会社を辞めても以外になんとかなるものかもしれません。稼ぐ方法はたくさんあるわけで、死ぬわけではありません。もしかしら、幸せに繋がる大きな一歩だったかもしれません。

 

 

 

 

目次

 

  1. 「おいしい」から逃げ出す

  2. うどん県でのライフスタイル

  3. 会社依存度を下げる

  4. 仕事を再定義する

 

 

 

 

 

「おいしい」から逃げ出す


会社を辞めると周りに宣言したとき、周囲の反応は驚くほど同じだったようです。まず言われたセリフが「もったいない」。

このまま会社にいた方が「おいしい」じゃないかということです。稲垣さんが勤めていた会社は、「朝日新聞社」ですから、いわゆる大企業です。知名度もあれば、給料も高い、まさに恵まれた環境にいたのです。


でもあえて、稲垣さんは「おいしい」から逃げ出したくなったのだとか。


この「おいしい」というのは、よく考えると実は恐ろしいことでもあるのです。例えば、おいしい食べ物やお酒を毎日食べ続けていたら、確実に健康を害してしまいます。


しかも、「おいしい」生活にハマってしまうと、なかなかそこから抜け出せなくなってしまいます。

なぜなら、大きい幸せは小さな幸せを見えなくするからだ。知らず知らずのうちに、大きい幸せじゃなければ幸せを感じられない身体になってしまう。


これは食べ物だけでなく、仕事だって同じです。高い給料、恵まれた立場に慣れてしまうと、そこから離れることがどんどん難しくなってなってしまいます。

そればかりか「もっともっと」とおいしいを要求し、終わりなきラットレースに身を投じることになってしまうかもしれません。


さらに恐ろしいのは、その境遇は少しでも損なわれることに恐怖や怒りを覚えてしまうことです。その結果、自由な精神はどんどん失われ、恐怖と不安に人生を支配されることになってしまうかもしれません。


欲が深く、プライドが高い人ほど、あっという間にこの罠にはまってしまう可能性が高いで注意してください。

 

 

 

うどん県でのライフスタイル


将来どうするものかと考えているときに、決定的な出来事が降りかかり、お金を使わないライフスタイルにならざるを得ないことになったのです。

それが当時38歳の時に、急に香川県高松総局デスクに人事異動することになったことです。それまで都会の大きな組織で本社勤務から一新、まったくの寝耳に水だったようです。

デスクは、高松には一人しかおらず、朝から夜まで、遊ぶ時間なおろか、外食する時間もないほどに、忙しかったようです。


つまり、お金を使う機会がないのです。それまでの「金満生活による幸福の追求」を諦めざるを得なかったのです。


そこで、最初に見つけた楽しみが「直売所」です。直売所の魅力はスーパーよりも安いし、新鮮です。稲垣さんがもっとも魅せられたのが「ないもの」がたくさんあることだと言います。

スーパーには、年中野菜がたくさんあります。しかし、直売所にはある季節にならないとまったく収穫できないものなんです。ですから、いやが応にも旬の野菜を食べることになるのです。


これって一見不便に感じるかもしれませんが、逆に贅沢ではないでしょうか?

いつでも満たされているということは、モノのない時代にはすごく贅沢なことだったのだと思う。しかし、いつでも何でもある現代において、もう「ある」ことを贅沢だと思う人はほとんどいないんじゃないか。


むしろ「ない」ことの方が贅沢かもしれません。

私はそれまでずっと、何かを得ることが幸せだと思ってきた。しかし、何かを捨てることこそが本当の幸せへの道なのかもしれない……。



あまり知られていないことですが、香川県は「2つの日本一」を誇っています。一つは誰もが知っている「うどん」です。もう一つというのが、一世帯あたりの平均貯蓄高が日本一なんだとか。(2008年当時)今でも上位にランクインしています。

あまり知られていないと思います。もちろん給与が高いわけではありません。ただ、香川県民はお金を使わないのです。


「うどん」に原因があるのではないかというのが、稲垣さんの推測です。

何しろ香川県のうどんは本当に安いです。セルフ系の店の場合、素うどん一杯100円台、めいっぱい奮発して天ぷらをのっけても500円を超えることは難しいのです。1000円を超えるなんて普通はありえません。

だからこそ、ランチに1000円以上かかる店には行きたがりません。「それだったらうどん〇〇杯食べられる」と、香川県民の方たちは言うのです。

つまり、うどん一杯というのが、モノの値段を考えるときの単位となっているのです。うどんを基準に考えるため、自然と無駄にお金を使うことが少なくなります。


そんなうどん県で暮らしていくうちに、「お金を使わなくてもハッピーなライフスタイル」を身につけていくことになったのです。

 

 

 

会社依存度を下げる

 

日本社会とは、実は「会社社会」なのであった!  まさかの「会社員にあらずんば人にあらず」の国だったのである……。


会社をいざ辞めることになり、気づいた恐ろしい現実です。日本という荒野では、会社に属していないと自動的に「枠外」に置かれる仕組みになっているのです。暮らしを守ってくれるセーフティーネットからも外れていきます。


高度経済成長期、いわゆるバブル期は、会社がうまくいけばみんながうまくいく、そんな時代だったように思います。どの考えが社会に浸透し、「会社社会」が完成したのかもしれません。


しかし、現代はそうもいきません。まず何しろモノが売れないですよね。「モノを手に入れれば豊かになれる」という発想は、急速に過去のものとなってきています。


安倍首相は、「経済成長がすべてを解決する」といった考えで、アベノミクスを売る出してはいるが、そう簡単な問題ではないと思います。


そこで稲垣さんが提案するのが、ほんの少しでもいいから、自分の「会社依存度」を下げることだと言います。

可能な限り給料に依存することはやめて、自身の生活を見つめ直してみましょう。お金をかけない楽しみだってあります。


会社以外に何か楽しみを見つけることもいいでしょう。オンラインサロンというものもあるので、コミュニティーを見つけることはさほど難しくありません。

仕事とは本来、人を満足させ喜ばせることのできる素晴らしい行為である。人がどうすれば喜ぶかを考えるのは、何よりも創造的で心踊る行為だ。


事務的な作業ではないはずです。金を儲けさえすれば何をやってもいいというのは、仕事ではなく詐欺です。


会社依存度を下げる人が増えてくれば、「カイシャ社会」が、変わる始めるかもしれません。

 

 

 

仕事を再定義する


会社をやめていろんなことをした稲垣さんでしたが、一番やりたいことは「仕事」だと言います。とはいえ就職をするつもりはないみたいです。

ここで仕事とは何か、改めて考えてみましょう。先ほどのちらっと言いましたが、仕事とはこういうものです。

仕事とは、突き詰めて言えば、会社に入ることでも、お金をもらうことでもないと思うのです。他人を喜ばせたり、助けたりすること。つまり人のために何かをすること。


人に喜んでもらうために真剣にならなければいけません。苦労もするし、思い通りになんてなかなかいかないでしょう。だからこそ、やりがいや達成感のあることなんです。

そこで出会った人と仲良くなったり、仲間ができたり、人間関係だって広がっていきます。決して遊びじゃないんだけれど、仕事は最高級の遊びなのかもしれません。

会社とは、私にとってこれ以上ない「人生の学校」でした。


一から仕事のイロハを教えてくれるかけがえのない存在です。会社というのは、これでもかというほどに実に様々なアメとムチを繰り出してきて社員を翻弄してくるようです。

とてもリアルでハードな経験です。映画の主人公のように成長できる場所でもあります。でも物語はいつか終わります。

会社は修業の場であって、依存の場じゃない。


修行を終えたのであれば、いつでも会社を辞めることができます。もちろんやめてもやめなくてもどちらでもいいんです。

ただいつかは学校のように卒業する自分を作り上げるという意識は、すごく大切かもしれません。

 

 

 

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