狂ったビジネスを作る実験思考の取り組み3
即現金化アプリ「CASH」を70億で売却するなど、次から次へと狂ったビジネスを立ち上げる天才起業家の光本勇介さん。
今回は、そんな光本さんの書籍『実験思考』について紹介します。この書籍は、Kindle版0円、まさかの価格自由という今までにない斬新な売り方をしています。まさにこれも実験思考ですよね。
はじめの冒頭部分を紹介します。
ぼくにとって、すべてのビジネスは「実験」です。
自分の考えたアイデアや仮説を「世の中」というビーカーにぶち込んでみる。 そこでどんな「火花」が散るのか、「化学反応」が起きるのかを見たいのです。
この冒頭ですでに、光本さんが狂っているのがわかると思います。と同時にワクワクもします。ビジネス以外にも、普段の生活に対しても「実験思考」と考えていれば、もっと楽しく人生を過ごせるようになるかもしれません。
目次
全力で「普通の生活」をする
全力で「普通の生活」をしていると、世の中は不便なことだらけだと気づくのだとか。
光本さんは普段から、寝る前に一日を振り返り、「ああそういえば、あそこ不便だったな」ということを思い出しているようです。
このように大きな視点で考えると、世の中の改善点にいち早く気づくことができるのではないでしょうか?
「あえて普通に生活する」
IT起業家、社長というのは、世間一般とは感覚がずれてしまうものです。そんな企業経営者が忘れてしまうような当たり前の感覚を持ち続けることも大切かもしえれません。
また、 流行っているものにはなるべく触れるようにしています。メジャーなサービスや新しいモノもいちおう全部知るようにしています。流行るものにはかならず理由があり、それがマスの人たちの感覚だからです。
同じようなことをZOZOの田端さんもおっしゃています。詳しくは以下の記事で解説しています。
それとは反対に、最先端すぎる、めちゃくちゃ新しすぎるものにはあえて触れないようにしているのだとか。理由は、「まだ大衆的ではない」ものに詳しくなりすぎると、「普通の人」ではなくなってしまうからだと言います。
具体的にやっているのは「iTunesのトップ 10」を毎月かならずダウンロードしていたり、とにかくニュースはヤフーニュースのトップページをチェックしていたり。そうすることで「マスの人たちの感覚」を知ることができるのです。
少し意外な印象を僕は受けました。Yahoo!ニュースを見ている人がどれくらいいるのか調べてみると驚愕な数字が出てきました。
全体の月間アクセス数はPC版で 244億9,600万PV、スマートフォン版で 500億5,900万PV(2018年12月現在)にものぼる。
モバイルマーケティング研究所
ちょっと考えられない数字ですよね。とてもじゃないが、個人で立ち向かえるものではないし、大衆の感覚を理解するのにもってこいなのもわかります。
全力で普通の生活をする。その中でふと気づいたことにヒントが隠されているように思います。
人の「いいね」も「悪いね」も信じない
光本さんは、人に相談をしないと言います。
「人に相談しない」というのは「自分の感覚を大切にしている」ということです。人に相談すると、自分の考えがブレてしまう。それがイヤなのです。
相手の考えに耳を傾けることも重要なことではありますが、あくまで参考程度に聞いた方が良さそうですね。やっぱり自分に人生なんだから、他人に振り回されるのもほどほどにしなくてはいけません。それに、世にはびこる相談のほとんどが、愚痴に近いものであったりしますよね。
CASHをやるときだって誰にも相談しなかったようです。
また、「いいね」も「悪いね」も信じないと言います。中には「悪いね」と持っていても「いいね」と言ってしまう人も多いからだそう。
唯一の答えは、「世の中の反応」です。実際にサービスを使ってみての生の反応や声を聞いて、どう世の中に化学反応が起きるのか。冒頭にもありましたが、これを光本さんは楽しみにしているようです。
事業はタイミングが命
ビジネスアイデアを書き記したノートには、1軍から3軍まであると言います。
1軍のものは、基本的には「見たことがないようなもの」「ぶっ飛んだ発想のもの」があるようで、時代が追いついてきて斬新さがなくなってきたものが2軍、3軍へと流れていくようです。
今ではもはや当たり前になっているカーシェアリングサービスですが、なんと水本さんは10年前にこのサービスをリリースしたのだとか。
さすがに、早すぎたようで当時は全く流行りませんでした。
いくらイケているサービスでも、タイミングを間違えたら流行るものも流行らないのです。
ここでも、普通の人の感覚、マスが追いつく環境が整っていないとうまくいかないということがわかります。あまりに時代を超越しすぎてもダメみたいですね。
サイバーエージェントの藤田晋さんは「新しすぎることをやると人がついてこないから、できるだけ業界の人が『いまさら?』と言うようなもののほうがいい」というようなことを言っていました。
大切なのは、市場選択とタイミングだとわかりました。あまりに詳しくなりすぎて専門家のような立ち位置にいては気づかないみたいですね。
だから「それが世の中だ」とつい思ってしまう。ちゃんと「いま見ているのは世の中の0・001%なんだ」と意識しないと、その他の 99%以上の人たち向けのサービスが作れないのです。
『実験思考』には、光本さんならではの考えにたくさん驚かされ、その上で次はどんなサービスを展開してくれるのかとてもワクワクしました。
常に「実験」をする。その思考の背景には、天才起業家の頭の中がのぞけたような気がします。