すべての人は「デザイナー」である『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』

すべての人は「デザイナー」である『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』

私たちはデザイナーだった!デザイン思考の誤解をひもとく


「デザイン思考」と聞くと、最先端のIT企業GAFAのような会社がこぞって取り入れるものだと思っていませんか。

また、デザイナ専門の思考法だったり、いわゆるクリエイティブ系の人のモノだと勘違いしている人も多くいらっしゃるでしょう。


デザイン思考というのは、実はこれからの激動の社会を生き抜くためにすべてのビジネスパーソンに必須の「思考メソッド」なのです。


これを教えてくれるのが、石川俊祐さんの書籍『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン (NewsPicks Book)』です。


今回はデザイン思考の基本や主に日本人がしているよくある勘違いについて紹介します。

 

 

 

 

目次

 

  1. デザイン思考のポテンシャルだらけの日本人

  2. アートとデザインの違い

  3. デザイナーとは問いを設定し、解決する人である

 

 

 

 

 

 

デザイン思考のポテンシャルだらけの日本人


著者の石川さんがもっとも伝えたいことは、「日本人にとってのデザイン思考」だと言います。

日本では「デザイン」という言葉ひとつとっても正しく認識されていません。デザイナーの存在価値もまだまだ小さいのが現状でしょう。


しかし、そんな日本人こそ、デザイン思考に無尽蔵のポテンシャルを持っているというのです。


なぜ無尽蔵かと言えば、日本社会はデザイン思考発祥の地であるアメリカよりもずっとデザイン思考と相性がいい文化を持っているから。



日本の歴史は世界的に見ても長く古いものです。昔の技術などが伝統として残っているのもかなり稀なことです。また、接客レベルも非常に高く、海外から高評価を受けています。


こういった背景には、無意識のうちにもはや当たり前のように、「デザイン思考」の片鱗が染み付いているからです。


たとえば、東京オリンピック招致が決まったときに、滝川クリステルさんがいった一言「おもてなし」。これも一種のデザインです。


本当のデザインを知り、本当のデザイン思考を身につければ、みなさんの考え方や発想の質、もっと言えば「生き方」も劇的に変化します。そしてみなさんが変われば企業文化も変容する。やがては日本社会全体が変わっていくはずです。

 

 

 

 

アートとデザインの違い


アートとデザインは一見、混同してしまいがちですが、著者の石川さんは両者は大きく異なると言います。

アートの最も大きな特徴は、「自己表現」です。アーティストの内から湧き出る衝動やインスピレーションを、絵画や音楽、オブジェなどのかたちにしたもの、と言えるでしょう。



その人にしかできない自己表現を追求したオリジナル作品といったところでしょうか。昔は「歌手」と読んでいたのに、今日ではもはや死語に近い言葉となり、すっかり「アーティスト」呼ぶが定着しましたよね。


ポイントは、その作品にアーティストの主張があり、「伝えたい!」という強い思いが込められていること。受け手が側がほしいものから逆算することは少ない点です。



たとえば、中国政府とたびたび衝突していることでも有名な現代アーティストのアイ・ウェイウェイという方がいます。

彼は社会運動にも力を入れていますが、あくまで自己表現を通じて、多くの人たちにインスパイアを与えることが目的だったはずです。


謎のアーティスト、バンクシーも何かと話題になっていますが、同じように彼の絵もまた、「伝えたい」という強い思いからくる自己表現の一種でしょう。



それに対して、デザインというのは芸術とは少し離れたものです。

デザインの根底ある考え方は、人々の心や行動の変化から、そこにある潜在的な課題や願望を読み解き、あるべき姿をかたちにすることだと言います。


じつはデザインの本質は「課題の発見とその解決」にあります。「人が持っている課題の本質を見つけ、その上でそれを解決するための新しいモノ、体験、システムなどをつくり出すこと」がデザインのもっともベースとなる概念なのです。



もしなにか欠けているものがあって、それを改善しようとするならば、もうそれはデザインするということになります。デザインとはクリエイティブ系のものではなくて誰にでもできるものなんです。


世の中の不便を見つけ、それを解決するためにベンチャー企業を立ち上げるのもデザイン。お客様の不満を見つけ、より快適に過ごせるよう「おもてなし」を提供するのもデザイン。


デザインとは、老若男女、誰もが武器にできるものです。

 

 

 

 

デザイナーとは問いを設定し、解決する人である


デザイナーといえば、日本では「ビジュアルを整える」人のことを指すことが多いかと思います。本来は違うのですが、「ビジネスのことはわからない感性の人たち」と誤解しているのではないでしょうか。


CEOやCFOはよく聞いたり目にするけど、CDOってあまり聞いたことがないですよね。

CDOとはChief Exective Offcerの略で、いわゆるデザイナーのトップです。企業によってはこのポジションが用意されていますが、まだまだ少なく、デザイナーすらいない会社だってあります。


世界的に言えば——そして本来は、デザイナーは「そもそもこのプロジェクトでは、誰のどのような問題を解決するか」という「問い(テーマ)」を考えることから、実現可能なビジネスにしていくフェーズまで、プロジェクト全体に関わる人なのです。



この定義はとても重要です。しかし、それだけでは不十分です。課題そのものを設定するところから関わってこそ、本当の意味でのデザイナーです。


デザインコンセルファームのIDEOという会社では、どんな職種にも全員の肩書にデザイナーがついているようです。デザイナーとは小さな職種にとらわれず、もっと広義な意味が含まれていますからね。


デザイナーは、いつも人のことを考えています。
いつも課題に対してどんなソリューションを提供できるか企てています。
そしていつも「新しい未来」を想像しているんです。



あなたの現在の肩書にもデザイナーという文字が隠れているかもしれませんね。

 

 

 

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