クリエイティブ・コンフィデンスを持つためのマインドセット
デザイン思考というのは、実はこれからの激動の社会を生き抜くためにすべてのビジネスパーソンに必須の「思考メソッド」なのです。
これを教えてくれるのが、石川俊祐さんの書籍『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン (NewsPicks Book)』です。
著者の石川さんは、IDEO Tokyo元デザイン・ディレクターを勤められていました。IDEOでの話を中心に、デザインのイロハを教えてくれます。
日本人があまり知らない、けれど得意なはずという「デザイン思考」を身につけていきませんか?
今回はその思考を身につける4つのマインドセットを紹介します。
目次
ぼくたちに必要なクリエイティブ・コンフィデンスとは?
デザイン思考を実践するための必要なマインドセットは、いくつかあります。
デザイン思考において、「マインド」と「スキル」は車の両輪のようなものです。
片っ方しかなければ進むことができないし、両方とも必要不可欠なものです。日本人の多くがネガティブな動きのブレーキの力が強くなっているでしょう。
これは今までの人生や生活で染み付いた思考のクセのようなものです。
まずは「デザイン思考家として持つべきマインドセット」を知り、普段から意識することがファーストステップ。それがみなさんの「クリエイティブ・コンフィデンス」——「自分の創造性に対する自信」を育てる第一歩になるはずです。
この「クリエイティブ・コンフィデンス」という言葉は、IDEOが提唱している概念のひとつのようです。
「クリエイティブ」は「デザイン」と同じく、苦手だと思う人もいてどうやら誤解している人が多いようです。しかし、クリエイターを表すものだけではありません。
石川さんいわく、「未来をつくる普遍的な力」こそ、クリエイティビティ——「創造性」と呼ばれるものなんだとか。
「自分には、周囲の世界を変える力がある」という自信。
「自分にはなにかを生み出し、実行する力がある」という自信。
「自分の考えってイケてるぞ、みんなに聞いてもらおう」と応える自信。
これらが、「クリエイティブ・コンフィデンス」なのです。
❶曖昧な状況でも楽観的でいること
デザイン思考家が掲げているのが、4つの「クリエイティブ・コンフィデンスを持つためのマインドセット」です。一つずつ紹介していきます。
一般的に、人は方向性や仮説がないモヤモヤした状況を嫌うものです。前にすすでいるのかどうかわからない、迷路の迷い込んだような状況は不安でいっぱいです。
そんなときに、「自分ならいつかいいアイデアが出るさ」などと楽観的に構えることが非常に大切です。
反対に、切羽詰まって机に向かったり、頭を抱えていては先には進めません。いったん離れてみたり、全然違うことして気分転換するのも良い方法でしょう。
好きなコーヒーやドリンクを飲みながら雑談しつつ、「どこにヒントがあるかな」とワクワクしながら探していくからこそ、いいアイデアが浮かぶものです。
ですからクリエイティブ・コンフィデンスがある人って、「なんだか楽観的」なんですね。
❷旅行者/初心者の気持ちでいること
はじめて訪れる国では、信号機、看板、店員のふるまいなど、目に入るものすべてが「おもしろい」ですよね。旅行者にとって旅は気づきの宝庫だと言えます。
母国にはない文化や、食事に体験など、さまざまな特徴が広がっています。はじめての国であれば、とても新鮮なはずです。
そういった旅行者や初心者の気持ちを普段の生活に持ち込むことが2つ目の重要なマインドセットなのです。
「こういうものだろう」という思い込みをそぎ落とし、あえてヨソモノの目を持ってみるのです。そうすれば、代わり映えしないつまらない毎日にも、新鮮な新しい発見が見つかるはずです。
とはいえ、「海外旅行へ行け」と言うわけではありません。今までの人生の中でいくつものはじめての体験を経験してきたはずです。
学校や会社にはじめて入学・入社した時や、上京したときに受けた衝撃など、まだまだたくさんあるはずです。
たしかに、歳を重ねるたびに「はじめて」を経験することは少なくなっていきます。だからこそ、初心者の目を決して忘れないようにしましょう。
すっかり「当たり前」になってしまったことに対してもう一度初心者の目を取り戻すことで、キラリと光るアイデアの原石を見つけられるんです。
❸常に助け合える状態をつくること
僕もそうですが、きっとみなさんの多くも、オールマイティーな天才ではないはずです。得意なものがあれば不得意なものもあり、好きな人・モノがあれば、嫌いな人・モノもありますよね。
人間は一人ひとり個性があふれています。すごく個性的です。
そんな凸凹な人間の組み合わせ。チームを組んでアイデアを出すことで、個人でいるよりもずっとクリエイティブになれるのです。
同じような人間がいくら集まってもクリエイティブにはなりません。個性あふれる集団チームの方が活発でいいアイデアが生まれたりするものです。
困ったときには、声を上げて助けてもらえたり、すぐに手を貸し合えるような環境を作ることが大切です。お互いに切磋琢磨し合えるような素敵な関係を構築しましょう。
❹クリエイティブな行動を信じること
・今までと同じものをつくる
・みんなと同じことをする
・競合を意識する
・差別化する
これらはクリエイティブとは反対の姿勢・行動です。危険も少なくラクです。とはいえ、これでは誰かにし彼らレールの上を歩いているようなもので、面白みに欠けます。
誰かが描いた地図を見ながら進めるようなものです。誰かが見つけ、すでに征服している大陸にしか行き着くことができません。
間違いなく、コロンブスはそうではなく、自分を信じ、命を削りながらも新大陸を見つけようとしていたはずです。
これはものすごく大変だし、相当な勇気が必要です。
今までと違うもの、みんなと違うアイデアを目指すのは、真っ白な地図を片手に、羅針盤さえもないまま北極星と太陽だけを頼りに船を進めるもの。
かなり無茶をしているように見えますが、一度は挑戦する価値があるかと思います。何か大きなことを成し遂げた人は必ず大胆なチャレンジを行なっています。
クリエイティブでありたいと思うのであれば、クリエイティブな行動を信じ、まずは動いてみましょう。机の上で地図を眺めていても、新大陸は見つからないのですから。