『最高の体調』に学ぶ、人生を彩るアプローチ

『最高の体調』に学ぶ、人生を彩るアプローチ

現代人が抱えるあらゆる文明病からの脱却


今回は、鈴木佑さんの書籍『最高の体調 ACTIVE HEALTH』を紹介します。


まず始めに、「現代の矛盾」というエッセイを一部紹介します。

『私たち人間は、長大なビルを作りあげたが、いっぽうで気は短くなった。  道路を広くしたわりに、視野は狭くなった。  
 お金を使っても身につくものはなく、ものを買っても楽しみは少ない。
 家は大きくなったが、家族との関わりは小さい。  
 便利になったのに、時間はない。  
 専門家が増えても、それ以上に問題も増えた。  
 薬は増えたのに、健康な人は減った。  
 私たちは、酒を飲みすぎ、タバコを吸いすぎ、時間をムダに過ごし、少ししか笑わず、毎日を急ぎすぎ、怒りすぎ、夜更けまで起きすぎ、目覚めたらすでに疲れている』(一部を抜粋して要約)


この文章に共感する人は多いでしょう。自分の暮らし、人生はこんなはずではなかったのではないか。


しかし、自分を責めてはいけません。
なぜなら、これらの問題の大半は、現代人に特有の「文明病」が原因だからです。


本書では、科学的根拠のもと、実践的に紹介されています。ぜひ記された内容を活用して、文明病から脱却しましょう。そして本来の自分を取り戻し、最大級のパフォーマンスを発揮しましょう。

 

 

目次

 

  1. 集中力の低下

  2. 人間関係が苦手なのは脳のつくり?

  3. 他者に与える最強のプレゼント

  4. 本当の人生の価値観

 

 

 

 

集中力の低下


進化医学の観点から、おもしろい実験を行いました。狩猟採集の暮らしを送る伝統的な部族、ヒンバ族と、ロンドンの都市部で暮らす若者たちとの集中力の比較です。


ヒンバ族は、2000年前からライフスタイルが変わっておらず、牛の放牧や根菜類の収穫をしながら生活しています。


その結果は驚くもので、なんとヒンバ族の集中力は、ロンドンの若者と比べて約40%も高かったのです。


その理由について、長らく調査を続けてきたリンネル博士は、「都市部に住む者は扁桃体が過敏になるからだろう」と推測しています。


扁桃体とは、ヒトの脳に備わった警戒システムで、身の回りに危険が迫ると活性化し、緊急事態に備えるよう体に指令を出します。よく緊張やストレスで神経が過敏になることがあると思いますが、これらは扁桃体のアラーム機能によるものです。


この警戒システムは、遠くから聞こえる猛獣の声、目の前の茂みに潜む謎の生物、他の部族による不意の襲撃など、古代の環境に対する危機に対応するために進化してきたシステムです。


しかし、現代の私たちの扁桃体はそのせいで、しょっちゅう誤作動を起こします。常にスイッチオンの状態で、結果としてどうしても集中力は分散してしまうのです。


ここでもう一つの実験を紹介します。簡略的にまとめると、目の前に電源を切ったスマホを置いたグループと、スマホを視界から遠ざけたグループの2つに分け、集中力の持続を比較しました。


結果は、スマホを近くに置いたグループの惨敗でした。スマホの電源を切った状態にもかかわらず、集中力は約半分の差があったようです。

 

「デジタルデバイスが近くにあるだけで、認知機能は大きく低下する。デバイスの存続を近くに感じた時点で、目の前の作業に使える認知のリソースは減ってしまうのだ」

 

現代人の集中力の低下も立派な文明病の一つと言えるでしょう。

 

 

 

人間関係が苦手なのは脳のつくり?

 

他者とのコミュニケーションに悩まされている人も多いでしょう。「コミュニケーション術」が苦手な人は「コミュ障」と称されるなんてこともあるほどです。

しかし、本当にそうでしょうか。「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」と言ったのは、心理学者で有名なアドラーですが、次にことが判明しました。

 

もともと私たちはの脳が、見知らぬ他人とうまく人間関係を作れるように設計されていない

 

人類は昔、小さな集団の中でだけで生きていたため、他人と交流することは滅多にありませんでした。周囲にいるのは、家族と少ない顔見知りだけです。


当時必要だったのは、内側に向けた対人スキルです。しかし、現代はまったくの正反対、外向きのコミュニケーション力が求められます。

 

私たちの頭には、そもそも外向きのコミュニケーション回路が備わっていません。

 

これもまた、私たち現代人を苦しめる遺伝のミスマッチといえるでしょう。外とのコミュニケーションは思っていたよりも難しい問題なのです。


では、友人は多ければ多い方がいいのでしょうか?


オックスホード大学の実験によれば、その答えはNoです。

 

「多くの人は、自分のネットワークに新たな友人が加わると、昔のネットワークとはコンタクトしなくなっていく。親密な関係を維持するためには、多大な認知機能と感情の投資が’必要になるのが大きな原因だろう」

 

ダンバー博士はこのように推測しました。

つまり、ヒトの認知リソースは大勢の友人をさばくようにはできていないということ。そのため、1回につき5人前後としか親密な人間関係を築けない、というわけです。


言い換えれば、いくらSNS上で1,000人の友達を作っても「満足」の感情システムは活性化されません。それどころか、むしろ比較対象が増えることで「興奮」と「脅威」のシステムが優位になってしまうでしょう。


本書では、親密な人間関係を築くために何をすればいいのか。これについて、3つのポイントを教えてくれています。

 

それは「時間」「同期」「互恵」です。

 

 

他者に与える最強のプレゼント

 

ここでは、3つ目の「互恵」について詳しく見ていきましょう。互恵とは、簡単に言えば「好きな相手に利益を与えること」となります。

プレゼントを好きな人に与えたり、与えられたりした経験をあるでしょうが、本書でいう利益はもっと広義なものを指します。


新約聖書にある有名な言葉「与えよ、さらば与えられん」は、まさに世の習いです。友情を育むには利益の与え合い、つまり「互恵」が欠かせないのです。

 

私たちが他者に与えられる最強のプレゼントは「信頼」です。

 

お金でも名声でも知識でも特別な特技でもありません。相手に「こいつは絶対に自分を裏切らない」と感じさせることができれば、必ず強固な信頼関係が生まれます。


マーク・トウェインが残した一言も、科学的に正しいと言ってもいいかもしれません。

 

「彼は人を好きなることが好きだった。だから、人々は彼のことを好きだった」

 

心理学で重視されているものに「セルフディスクロージャー」というものがあります。これは自分の悩みや秘密を隠さずに打ち明けることを意味します。


とても有効なアプローチですが、容易ではありません。いきなり深刻な話をしても引かれるでしょうし、逆に浅すぎると退屈するでしょう。


そこで使えるのは以下の10種類のパターンです。

 

1 お金と健康に関する心配事  
2 自分がイライラしてしまうこと  
3 人生で幸福になれること、楽しいこと  
4 自分が改善したいこと(体型、性格、なんらかのスキルなど)  
5 自分の夢や目標、野望など  
6 自分の性生活に関すること  
7 自分の弱点やマイナス面  
8 自分が怒ってしまう出来事について  
9 自分の趣味や興味  
10  恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験

 

同盟関係を結びたい相手がいれば、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

本当の人生の価値観


「ACT(アクト)」というものを聞いたことがあるでしょうか。「アクセプタンス&コミットメントセラピー」の略で、最先端の心理学療法です。


内容は、不安な感情に対処する方法を学び、同時に自分の価値観を見定め、行動を目指すものです。


効果についても、百を超える研究で確認されており、人生の満足度が上がるとの結論まで出ています。中には、ダイエットにも効果があるようで、メリットは計り知れません。


本書では、以下のように「価値」について書かれています。


「個人のさまざまな外的または内的世界と関わりを持つ際にわきあがる確信、迷いなくゴールを達成する際の動機づけとなるもの、などから構成される特定の心理的な現象」



少し難しい定義ですが、簡潔に言い換えると、「人生のモチベーションを与える基本原理」といったところでしょうか。


「お金が欲しい」「モテたい」「尊敬されたい」など、欲望は皆それぞれあるでしょう。


しかし、本当の価値観はそんなことではないと本書はいいます。

「もしすでに使いきれないほどの金を手に入れ、理想の仕事につき、毎日が幸福感に満ち溢れていて、誰からも尊敬されていたとしたら、私はどのように行動するだろうか? 自分や他者との関わり方はどう変わるだろうか?」  


これまで考えていた価値観とは大きく異なるのではないでしょうか。すべてが満ち足りた状態でもなお行動せずにはいられない物事こそが、あなたの心の底に眠る本当の価値観なのです。

 

 

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